Vol.1 嶋田ちあきさん<前編>

09 Apr,2021 #プロの領域。プロの聖域。

Vol.1

guest
ヘア&メイクアップアーティスト 嶋田ちあきさん


長年にわたり第一線で活躍するクリエイターをゲストに迎え、ファッションからビューティ、ライフスタイルまで。それぞれのこだわりや美のフィロソフィーについて語り合います。


www.shimadachiaki.jp
www.vierge.jp
www.brilliage.jp
www.shimadachiaki.ac


長年にわたりヘア&メイクアップアーティストとして、またクリエイターとして第一線で活躍し続けるお二人ですが、この道に進むきっかけや影響を受けた人はいるのでしょうか?

嶋田さん(以下CHIAKI)

僕はフランス人女優のジェーン・バーキンに大きな影響を受けました。学生時代に手にした彼女のアルバムの写真が、ブロンドのボブにすっぴん、マスカラと指でラフに塗った赤いリップだけ。こんなに可愛く自分を貫ける女性がいるんだと、ものすごい衝撃を受けたんです。プロになってからもずっと赤マットとベージュのリップが似合う女性像を追い求めているのは彼女の影響が大きい。自然体で飾らず、自分をしっかり持った女性が好きですね。

濱田さん(以下MASARU)

僕は長年、松田聖子さんのファンで、嶋田ちあきさんがヘア&メイクを手がけていらっしゃった聖子さんをずっと追いかけていました。ヘア&メイクアップアーティストという仕事を知ったのも、プロを目指そうと思ったのも嶋田さんの存在があったから。永遠のテキストでありバイブル的な作品や女性像にたくさんの刺激を受けました。

CHIAKI

光栄ですね。

MASARU

デジタル加工が一般的ではなかったバブル全盛期〜バブル崩壊後のショービジネスとヘア&メイクの世界は、完成されていて未だに学ぶ事だらけです。当時のDVDやコンサートパンフレットはいつ見ても新鮮ですし、その中の聖子さんは永遠にフレッシュな存在です。



二人にとっての美しい人とはどんな人でしょう? 肌? 雰囲気?言葉遣い?

CHIAKI

自己をしっかり持っていてかつ自然体な人が美しいと思うし、強く惹かれます。そういう人は周りの言葉に振りまわされたりメイクやファッションの装飾に頼る必要もありません。

MASARU

僕は肌やメイクアップなど、部分的なものだけではなく全体的な雰囲気をもった人だと思います。ですがそのニュアンスがわからないから、どうしたら綺麗になれるのかもわからないと悩んでいる人が多いよう。SNSの影響もあるのかな?以前は嶋田さんをはじめ多くのアーティストが、個性あるメイクの提案でズバッと答えを提示してくれていたから、もう少し迷う人は少なかったように思いますね。

CHIAKI

確かにメイクアップを通して“いろいろな顔、いろいろな生き方があっていいんだよ”というメッセージを伝える機会はいまより多かったかもしれないね。

MASARU

最近は、雰囲気重視のメイク提案やノウハウが氾濫しているからか、迷ってしまう人が多いのかな。当時は個性や発信力の強いアーティストがメディアで活躍。すごい影響力でした。

CHIAKI

確かにクリエイターはみんなアクが強かった(笑)。個性がないと埋もれちゃうから僕が私がって火花を散らしていた時代。いまは平和的でいいけれどその分、個性を出しづらいのかも


嶋田さんがメイクレッスンをはじめるきっかけとは?

CHIAKI

女性誌やビューティ誌で仕事をするようになってから“一般の人にもメイクを教えて欲しい”という声があがって、重い腰を上げた感じです。

MASARU

それまで裏方だったヘア&メイクの仕事が憧れの職業として脚光を浴び始めたタイミングですよね。美容誌が誕生するまで表舞台に立つことはほとんどなかったですから。


ご自身のメイクアップを一言で表現すると?

CHIAKI

インテリジェンス、エレガンス、パッションがすべて入っているのが僕のメイクと言えます。メイクってすごいパワーを持っていると思っていて、その人に息吹を与える、命を与えるというか。表面的に装飾することで、心にも影響を与えて、新しい個性を生みだすことができると信じています。

MASARU

ナチュラルかわいいメイク全盛期に広告や雑誌など沢山のお仕事をさせていただきました。だから基本はすべてナチュラルかわいいがテーマ。でも本来はもっと個性的でオリジナリティのあるメイクが好き。だから嶋田さんのメイクに惹かれるんだと思います。

CHIAKI

確かに僕の時代はイケイケで個性が際立っていたものが求められていたから、僕自身と時代は合致していたのかも。

MASARU

僕自身を表現する作品を考えると難しく、パッと思いつかないのですが、現在(いま)手掛けている製品たちはすべてが大好きな作品。製品開発者としてモノづくりに没頭できる時間にいちばん幸せを感じます。


後編は4月23日(金)UP予定


TEXT :SAWAKO ABE