Vol.3 中野明海さん<前編>

04 Jun,2021 #プロの領域。プロの聖域。

Vol.3

guest
ヘア&メイクアップアーティスト 中野明海さん


長年にわたり第一線で活躍するクリエイターをゲストに迎え、ファッションからビューティ、ライフスタイルまで。それぞれのこだわりや美のフィロソフィーについて語り合います。





中野さん(以下AKEMI)

はじめて会ったのはスタジオで。マチャのほうから駆け寄ってきて、笑顔で挨拶してくれたんです。初対面は緊張するほうなんですが、マチャは不思議と緊張しなくて。最初の笑顔が印象的でしたね。

濱田さん(以下MASARU)

ヘア&メイク同士ってなかなか会う機会がなくて、あ!今がチャンス!と思って声をかけさせていただきました。明海さんとは美容雑誌のヘアメイク共演企画や広告の企画でご一緒する機会はありましたが、お会いした事は1度もなかったので。


以来、20年も続く仲なんですね。それぞれご自身のメイクアップスタイルについて伺えますか?
AKEMI

私はチークが好きで、10年前とは時代の空気感や求められるメイクのスタイルは変わっていますが、チークに対する考え方はずっと変わってないと思います。自分のスタイルを例えて言うならニュアンスメイク、雰囲気メイクかな。

MASARU

時代が変わっても、根本的なメイクへの価値観って変わらないように思います。時代の空気感やトレンドを優先する事もありますが、最も大切な事はモデルさんや女優さんの質感やオーラ感を消さない様にする事ですね。



二人が魅力を感じる、あるいはメイクをしてみたいと思う女性とは? 
AKEMI

私はおもしろい人が好き。本人のキャラクターのおもしろさや、いくつになっても好奇心が強い人。そういう女性は生き生き輝いているし、その人の雰囲気やニュアンスを、メイクでさらに生き生きと見せることができればと思います。造形の美しさには関心がなくて、メイク美人にならないように気をつけています。

MASARU

メイク美人、確かに! 完璧で美しいメイクだけが一人歩きするようなメイクは絶対に避けたいですね。

AKEMI

もちろん、完璧なメイクも素敵だと思うけれど、自分がそういうメイクをしたいかと聞かれたら違って、風通しがよく、気持ちいいメイクをしたいですね。

MASARU

美しく完璧なメイクも大好きだけど、いまは表情が活きるナチュラルメイクが主流ですよね。ファッションも昔とはシルエットや素材も違うし。30年前はきっちりした素材のものが多かったから、完璧なメイクのほうがしっくりきていたけれど、いまは軽やかな質感のものが多く、メイクも抜け感があるほうがマッチするんだと思います。メイクと服の素材ってリンクしていて、それぞれが離れてしまわないほうがいいと思っています。色は濃くても質感が軽いとか。

AKEMI

メイクが独り歩きすることなんてなくて、いつの時代もファッションに合ったメイクが大切。

MASARU

明海さんはどういう視点から、その人の魅力を引き出しているのですか?

AKEMI

好きなところを探すかな。たとえば、きれいな髪質で首が長いからこの長さがいいとか。ネガティブポイントを拾うことはなく、私が好きだと感じたところをみつけてフォーカス。本人がそばかすで悩んでいたとしても、そこが可愛いと思えば、どうすればそばかすがオシャレに見えるか、必死で向き合います(笑)。


後編は6月18日(金)UP予定
TEXT :SAWAKO ABE