Vol.2 嶋田ちあきさん<後編>

23 Apr,2021 #プロの領域。プロの聖域。


Vol.2

guest
ヘア&メイクアップアーティスト 嶋田ちあきさん



長年にわたり第一線で活躍するクリエイターをゲストに迎え、ファッションからビューティ、ライフスタイルまで。それぞれのこだわりや美のフィロソフィーについて語り合います。


www.shimadachiaki.jp
www.vierge.jp
www.brilliage.jp
www.shimadachiaki.ac

自分に似合うメイクを知りたいという女性が多いようですが、どんなアドバイスをされますか?

CHIAKI

こういう質問がいちばん難しい。まず“人にどう見られたいの”って聞きます。“どうアピールしたいですか”って。それを本人が明確に持っていたらアドバイスできるんですが…。

MASARU

同じ質問をよくいただくのですが、皆さん、自分をどういかしたらいいのか迷われているようです。

CHIAKI

どう自分を表現したいかによって、アドバイスも変わってくるんだけどね。

MASARU

各店舗で、10分間の顔診断というイベントを不定期開催しているんですが、私ってどうですか? という質問をいただくことが多いんです。自分は大丈夫なのか、そうでないのかを教えて欲しいということなのですが、どうなりたいか、どう見られたいかを伺ってからヘアやメイク、ファッションまでアドバイスをしています。自分を俯瞰でみる、あるいは客観的に分析することに慣れてなくて、わからない方が多いよう。簡単にできるのは全身鏡でメイクすること。洋服や髪型を含めたバランスでメイクを仕上げることは、第三者目線で自分をプロデュースすることでもありますから。



メイクアップアーティストとクリエイター(製品開発者)の視点の違いはありますか?

CHIAKI

僕にとってのモノづくりはアーティストの延長線上にあります。これまでの経験から見出した、美しい肌に見せるノウハウとテクニックをすべて詰め込んだのが僕の手掛けた製品たち。すべてに僕のテクニックが入っているので、どんなレベルの人でも同じようにぼかせるし、きれいに仕上がる、それがモノづくりのベースになっています。

MASARU

僕が心がけているのはひとつだけ。独りよがりにならないこと。僕が好きなモノ、いいと思うモノが一般の人にとって必ず使いやすいモノとは限らない。だから、みんなが使いたいと思うもので僕が納得できたものが店頭に並んでいます。

CHIAKI

インナーケアも作っているんだよね?

MASARU

はい、ジュエリーも(笑)。


クリエイターとしてのこだわりとは?

MASARU

素材や技術を探しているときや技術者との出会いにわくわくします。ビジネスの成功者になりたいわけではなく、クオリティにこだわったいいものを創りたいだけ。製品が生まれる背景や匠の技とかテクノロジーが好きなので、化粧品以外のモノも創っていきたいですね。

CHIAKI

すごい、ほんとうにクリエイターだね。でも、ビジネスとして怖いって思ったことはないの?

MASARU

僕が目指しているのは老舗商店(笑)。安心安全、信用第一のイメージです。いまは小さな化粧品ブランドもたくさん。そういう時代にどうモノを創って提案していくか。時代の波に乗りながらもベースはオーセンティックで普遍的、そんな柔軟なスタイルでモノづくりに関われたらいいですね。


CHIAKI

それが理想だね。

MASARU

アーティスト発信のブランドははじめに信頼感がある。その信頼と期待を裏切らないモノづくりを考えると、僕が好きなものだけに固執するのも違うのかなって思うんです。



お互いへのメッセージを

MASARU

嶋田さんにはたくさんありますが、まずは嶋田さんのメイクをもっとリアルにさまざまなメディアで見たいです。ビューティの創世記から日本のメイクスタイルを創り上げたひとりとして、いまなお変わらないクオリティの高い技術を多くの方にみてもらいたい。個性と味があって技術もストーリーもある、これが自分のクリエイティブだしアイデンティティーですって、そう言えるアーティストは貴重。モノづくりと一緒で老舗商店の発想(笑)です。後世に残すべきものをどうやって伝えていくかいつも考えています。

CHIAKI

ありがとう。僕が濱田さんに言えるとしたら、自分らしく伸び伸びいて欲しいということです。頑張り過ぎず、自分しくいることはとても大事。自分が心地いいことは周りの人にとっても心地いいもの。多くの方に居心地の良さや楽しさを伝えるために、自分らしくいてくださいと、言いたいですね。

MASARU

はい、HAPPYでいられることを胸に刻みます!今日はありがとうございました。



TEXT :SAWAKO ABE