ーきれいを紐解く色のお話ー vol.6 BLACK

13 Dec,2021 #LOVE COLORS

彩りのある豊かな生活に欠かせないさまざまな色の中から、メイクアップでなじみ深く、キレイの感性を引き出してくれる、そんな“エッセンシャルなひと色”についてのお話。




無垢や清潔感の象徴“白”と比較されることの多い“黒”。
白と比べ、“いい人扱い”で表現されることは稀ですが、クールで神秘的、ロックでアヴァンギャルドな黒に、かえって惹かれてしまう人も多いよう。とくにアーティスト志向の高い人たちから愛される傾向にあります。
アップルの創業者である故スティーブ・ジョブス氏が黒のタートルしか着なかった話は有名で、ココ・シャネルがはじめて、女性の日常に黒いドレスを開放したのと同じように、強くたくましく見せたい、個性的に見られたい、あるいは自分の存在を隠したい、といった心理が見え隠れします。
実際に、黒のファッションに身を包めば反骨精神を思わせる意思の強さやメッセージは伝わりますし、黒でアイラインを誇張すれば、瞬時に意思の強い眼差しが誕生。つまりは、黒によって自己の主張を自在に操ることが可能だということです。


それほどまでに強く、賢い色であるがゆえに苦手だという方もいますが、それでも多くの方が黒に惹かれてしまうのはなぜなのでしょう。



ある研究者の話によると、もともと人間の眼は、暗い方の明るさの変化にとても敏感なのだそう。わずかな光の反射をとらえ、繊細に移り変わる黒の表情をドラマチックに捉えてしまうようです。水に濡れた輝きやしっとりとした潤い感も、光の強い反射があってこそ、だから白より黒のほうが、圧倒的な潤いやツヤを感じさせることができますし、微細な光を放つ黒に心奪われるのは、ごく自然なことだと思うのです。


たとえばイルミネーションの輝きを華やかに、満天の星を宝石のように輝かせて見せるのは、黒く濃密な夜空という背景があってこそ。メイクアップにおいても、瞳の色を鮮やかに、うるんだ印象に見せてくれるのはやはり、黒のラインによるところが大きいよう。だから夜の帳に深く包まれるこれからのシーズンは、一年でいちばん黒の力を借りたいとき。
さあ、黒のアイライナーを手に、艶めく光を眼差しにそっと集めて。






水・汗・皮脂ににじみにくく、ぬるま湯で簡単にオフできるスマッジプ ルーフ処方の
アイライナー。目元にやさしい独自処方で、思い通りのラインが実現。
¥3,080 / blanche etoile





TEXT : SAWAKO ABE instagram