ーかぶらない猫の話ー vol.6 今年は大掃除に精を出したい、という話

09 Dec,2022 #かぶらない猫の話




昔からあまり年末年始の過ごし方が決まっておりません。若い頃は大晦日も正月も営業している商業施設で働いていましたし、その後は年越しのクラブイベントなんかに行くのが楽しかったり。子どもがいる今も暇さえあれば仕事の時間にあててしまい、まとまった休みを取ることもそんなにないのですね。


何が言いたいかというと、この歳まで結構、大掃除というものをなんとなく避けて生きてきたなと。年末年始が日常の地続きだと、掃除のタイミングがよくわからないんです。

今思えば、20代半ばまでいた実家でも、大掃除の記憶がありません。知らないうちに母親がやってくれていたんでしょうか?家を出て同棲したり結婚したり離婚したりしてきましたが、そんなに熱心に大掃除をやったことってない気がする。晴れ晴れとした気持ち(と空間)と、美しい装いでもって新年を迎える、ということにうとい半生だったなと思います。

今はSNSでみなさんのライフスタイルが垣間見えるじゃないですか。ホリデーシーズンらしい家のデコレーションや、年明けの厳かな澄んだ空気が美しい住まいを満たしているさまをちょいちょい見かけては、私の住むこの狭くてものが多い空間には縁のない世界だな……と思ってきました。ツリーを置く場所などいっさいないのですから。



ところで2022年は、家電がよく壊れた年でした。買い替えたものといえばデスクトップのMac、プリンター(ついに昭和の遺跡ことFAXに別れを告げて、複合機からシンプルなプリンターへ!)、ドラム式洗濯機、給湯器、そして一昨日突如動かなくなった電子レンジ。結構シャレにならない出費だったのですが、家電を変えるというのはずいぶん家のなかに新しい風を入れることになるのだなと思いました。洗濯機や電子レンジの裏側にあったホコリがきれいになったり、レイアウトを変えてすっきりとしてみたり。

すると不思議なものですが、部屋の一部分の景観が変わることで、毎日過ごしていた同じ家なのに、これまでまったく視界に入ってこなかったものが目につくようになります。読まれなくなって久しい息子の絵本や、こんなもの持ってたっけと首を傾げるアートブック、なんとなく置きっぱなしになっていたエコバッグ、新大久保で買ったまま使っていない韓国ブランドのクッションファンデーション、読みかけのままそっとしまわれていた……(以下略)。

さらにふと本棚や化粧品の棚を改めて見ると、もうとっくに定員オーバーになり、余白ゼロの状態となって久しい様子が確認できます。ずいぶんきつくなってしまった服をいつまでも着させられているような状態。なんだか本当にいたたまれない気持ちになってしまい、これは掃除だ、いや掃除なんてもんじゃない大掃除だ、と決意するに至っております。



最近仕事の能率が落ちているのが気になっていたのですが、これは空間にものが多すぎるからだわ。机の上の状態はあなたの脳内を可視化したものだ、みたいな話がありますよね?誰のセリフか忘れてしまいましたが、本当におっしゃる通りでございます。部屋のなかもしかりであろうと思います。切に。

私にとって大掃除のスイッチは、ずばりものを捨てること、余白を作ることなのだと思います。ものがとにかく多いのだから、そのものたちを右に動かし、左に動かししていても、その場しのぎになるだけで何も片付かない。まず捨てる。これはある程度の時間が必要だから、冬休み(ないけど)に入ってから!とかでなく、毎日コツコツやっていきたい所存です。2023年は、人生初の晴れやかな空間で迎えることができるように。


新しいものを迎え入れるスペースだって必要です。そのためにはやはりいくらかのお気に入りの化粧品や本、洋服を手放さなければならないでしょう。悲しいことですが、結局死ぬ時は何も持っていけないのです。願わくば、誰か気に入る方へお譲りできたら嬉しいのですが。

TEXT : AYANA