ーきれいを紐解く色のお話ー vol.2 PINK

28 May,2021 #LOVE COLORS

彩りのある豊かな生活に欠かせないさまざまな色の中から、メイクアップでなじみ深く、キレイの感性を引き出してくれる、そんな“エッセンシャルなひと色”についてのお話。




幸せや愛を饒舌に語り、ときにフェミニズムの象徴として。ピンクを形容する表現はいつでも大きな愛に包まれているよう。
甘くセンシュアルでありながらも、ロイヤルピンクに表されるように高貴なイメージを併せ持つオーセンティックな色。
なのに、年齢とともにPINK離れしていく、そんな人がとても多いのだとか。それはいったい、なぜ?



たどり着いたのは、幼い頃の記憶。日本では女の子はピンク、男の子はブルー、といった暗黙のルールが脈々と受け継がれていること、多くの方がご存知でしょう。その影響なのか、PINK=甘さや幼さ、可愛さと解釈する人が多いのです。
けっして性別や年齢で色分けすることのない欧米では、むしろPINKは大人のための色。成熟したマダムや男性たちが、PINKのドレスやジャケットをじつに堂々と着こなす姿を見かけます。まるで愛を語ることができる喜びを全身で表現しているかのように、です。

もしも“PINKは若い女の子のもの”という思い込みで、身につけることや彩ることを諦めていたのだとしたら、それはとても残念な話。
そろそろPINKという色が持つ優美で普遍的な価値を、ちゃんと語り始めてもいいのではないか、そう思うのです。



ファッションより身近に楽しめるメイクアップシーンにおいて、オークルスキンの日本人にじつに品よく馴染んでくれるPINKが存在すること、ご存知でしょうか? 艶やかなオーキッド? いいえ、黄みをほんの少しだけ含んだコーラルピンクやピーチピンク、そして桜の花びらのようなペールピンクです。

皇室の方々が纏うローブ・デコルテや着物の色によく使われる上品な色といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか?品格を求めるならぜひ、シルクのような光沢感のあるものを。ほんの少しの黄みが、甘さや幼さを成熟感へと変換。肌にまろやかに溶け込みながらも、洗練された印象を約束してくれます。



マスク時代のいまでは、血色感や温もりを与えられる唯一のパーツ、目元に彩る発想がメインストリーム。白肌の韓流スターたちが目尻に赤みをそっと描き入れるように、隠しラインやまつ毛をほんのり染めるのも新鮮です。



固定概念や過去の常識、そして性や年齢をも超えて、PINKをひと差し。
幸せや愛について語れる喜びを、そっと噛みしめて。





柔らかく溶け込みながら、繊細な輝きで奥行き感のある眼差しに。肌なじみのいいピンク系マスカラとアイライナー。エバーチェンジング ライナー M1(アイライナー)、ハマダ マスカラ PBR / blanche etoile





TEXT : SAWAKO ABE