VOL.4「頑固じゃない人」

07 Jul,2021 #美容迷子は煌めいて


綺麗の正解って、何?
「ない」から見つからないのか、それとも「ありすぎる」から見つからないのか。
本当の綺麗を見失っている「美容迷子」も多いのではないでしょうか?
美を創り出すアーティストとして、美を分析するエディターとして、それぞれの立場で綺麗を見つめてきた濱田マサル×松本千登世の、こっそり聞いてほしい「ここだけの話」。
まるで「因数分解」するように、綺麗のピースを集めます。



VOL.4「頑固じゃない人」



濱田マサル(以下MASARU):
100人いたら100人が口にする、「真実」ってありますよね?
そのひとつが「歳を取るほどに、頑固になる」。
僕の中で、ずっと気になっていたんですよね、どうして人間は、年齢を重ねるほどに頑固になるんだろう?って。

松本千登世(以下CHITOSE):
うわあ、どきっとしました。
私、まさに、頑固者なんです!
家族や親友にも、間違いなくそう思われていますね。
ただ、自覚があるからこそ、意識はしているつもりなんですけど……。

MASARU:
頑固さって、自分を守ろうとするところから生まれるんでしょうか?
そうするがあまり、柔軟性がなくなったり、余裕がなくなったり。
すると、変化をしなくなって、停滞すると思うんですよね。
もし、頑固の反対が「素直」なのだとしたら……?
僕は素直さの延長線上に健康や美しさがあると思っているから、真逆にある頑固さは、それらを阻むんじゃないかな、と。

CHITOSE:
異質な「何か」に触れたとき、それを跳ね返し、否定することで、自分は間違っていない、正しいと思い込ませるのかもしれませんね。
私が恵まれていると思うのは、年下の仲間と仕事をする機会が多いこと。
経験や年齢で当たり前と信じ込んでいる常識を、彼らは、軽やかに鮮やかに覆す。
「でも、でも、昔は……」と言い訳しようとする私の脳内を、目から鱗が落ちるようなヒントやアイディアで柔らかく耕してくれるんですよね。

MASARU:
自分は正しい、心地いいと感じているのに、「それ、違うんじゃない?」とか「このほうがいいんじゃない?」と言われることがありますよね?
そこで「なるほど、じゃあ、そうしてみよう」と思うか、「いやいや、私はこのほうがいい」と思うかで、右か左か、人生がまったく違う方向に行くと思うんです。
僕は、社長という立場上、無意識でいると、僕の発言で右か左かを決めてしまいがち。
だからこそ、スタッフひとりひとりに「どう思う?」「どう思う?」としつこいくらいに聞くようにしています。
こだわりを持つのと、頑固になるのとは違うから。

CHITOSE:
たとえ変わりたいという気持ちがあったとしても、いいほうに変わればいいけれど、悪いほうに変わったらどうしよう? みたいな怖さもある気がして。
年齢を重ねるほどに、失敗を嫌がる、それも頑固になる一因かもしれません。

MASARU:
「自己洗脳」して、こうと決めてつけている人が多い気もしますね。
たとえば、アイメイクを変えたら綺麗になれると思い込んでいる人に、「アイメイクよりも姿勢を意識してみたら」とアドバイスしても、まったく届かない。
自分が求めているワードじゃなかったり、自分のキャパシティを超えていたりすると、オーバーフローして何も受け入れられなくなってしまうみたいなんです。
でも、ね。
服も髪もメイクも、また元に戻せるでしょう?
たくさんトライすればするほど、まわりからの反応をデータとして蓄積できるから、次第に自分の見せ方が上手くなって、可能性が広がると思うんですよね。
頑固な自分じゃなく、素直な自分を迎え入れてほしいと思います。

CHITOSE:
「こうしてみたら?」「ああしてみたら?」と本音を言いやすい、軽やかで大らかな自分でいる心がけも大事ですね。
素直な自分を迎え入れると、まわりの人たちの言葉のシャワーも増えて、どんどん自由になれそうです!

TEXT : CHITOSE MATSUMOTO