VOL.8 「真のキャリアアップ」 

04 Apr,2022 #美容迷子は煌めいて


綺麗の正解って、何?
「ない」から見つからないのか、それとも「ありすぎる」から見つからないのか。
本当の綺麗を見失っている「美容迷子」も多いのではないでしょうか?
美を創り出すアーティストとして、美を分析するエディターとして、それぞれの立場で綺麗を見つめてきた濱田マサル×松本千登世の、こっそり聞いてほしい「ここだけの話」。
まるで「因数分解」するように、綺麗のピースを集めます。



VOL. 8「真のキャリアアップ」



松本千登世(以下CHITOSE):
コロナ禍を経験して、働き方が随分変わりました。
「それまで」は戻らないし、「これから」に向けて歩み出さなくてはいけないのだけれど、閉塞感に対するものとはまた違う、新しい戸惑いや不安が生まれた気がしますね。
果たして明るい未来は待っているのだろうか、もしかして取り残されているのは私だけじゃないだろうか……、みたいな声も耳にします。

濱田マサル(以下MASARU):
そうですよね。
働き方への気持ちの変化はもちろんのこと、ジェンダーレスという考え方が大きな流れとなる中で、僕は、女性が生きていくうえでの「キャリアアップ」ってなんだろう?
と考えるようになりました。
松本さんは、美容ライターとしてのキャリアを築くまでにいろいろと「転職」なさっていますよね?

CHITOSE:
はい、意図していたわけではなかったんですが(笑)。
もともと、会社員としてひとつの場所でじっくり働くのが自分の性分には合っていると思っていたので、自分がいちばん驚いています。
私の場合、キャリアアップというよりは、迷いながらもそのときの自分がしたいことを優先して選んだ道筋が、知らず知らずのうちに今に繫がっていただけという気がします。

MASARU:
なるほど!それはまさしく運命に導かれたんですね。
僕は最近、会社に興味を持ってくれる女性たちとSNSでやり取りをする機会があるんですが、年齢を問わず、共通しているのは、キャリアアップがいちばんの関心事であるということ。
「キャリアパスは?」という質問を頻繁にいただきます。
僕の会社は小さな会社なので、スタッフひとりひとりがどうなりたいか、どう働きたいか丁寧にコミュニケーションで探りながら、一歩一歩階段を上るように能力やスキルがステップアップしていく=キャリアアップだと思っているんですが……。

CHITOSE:
私が就職したころは、「男性と同じ土俵に立って、負けないように働く」という意識が求められた時代。
結婚や出産、子育てと仕事とを天秤にかけて、どちらかを仕方なく諦め、選び取ったどちらかでとことん頑張るのが「正解」、という暗黙の了解があった気がします。
でも今は、仕事はもちろんですが、結婚、出産、子育てもすべて、人生のキャリア。
選択肢が幅広くなった中でのキャリアアップは、意味合いが違うのかもしれません。

MASARU:
今、お話していて思ったことは、今も昔も変わらない指標の一つに「キャリアアップ=給料アップ」でもあると言う認識がもちろんあって。
様々な選択肢が増える中、仕事もプライベートもどちらも諦めなくていい時代に、評価の基準って、実はとてもシンプルなのかもしれない。。。
時代の流れとして「いいね!」と評価されることがとても大事でしょう?それに代わる指標としての給料。目に見える形での「いいね」を感じれる環境がマストなのかと思いました。

CHITOSE:
私の場合はフリーランスなので、特殊なケースだとは思いますが、キャリアアップ=給料アップとは限らないんですよね。
むしろ、給料はぐんと下がるけれど、やり甲斐や手応えは何倍にも何十倍にもなる、みたいなことも多い。
もちろん、働く意味として金銭的なキャリアアップはとても大事だし、そうなれば理想的だけれど、自分が楽しく生きるため、自由に生きるためという、精神的なキャリアアップも大事にしたいと思いますね。

MASARU:
世の中の平均的なところに自分の身を置きたいのか、自分が唯一無二の存在でありたいのかによっても、そのバランスは違ってくるのだと思います。
十人十色、百人百様、選択肢も無限……、その中で自分を満足させる働き方を見つけるのは、難しいことなのかもしれませんね。
僕は常々、経営者でありながら、労働者目線の意識や価値観も絶対持っておきたいと思っているんです。
経営者目線の意見でとても難しいと思うんですが、会社などで働く時、労働者の目線と意見を持ちながらも、経営者目線での意見を想像でき、持ち合わせられるか。
もちろん、信頼関係がある前提の話で、本当に1番大切なのは信頼関係で、信頼関係を強く築ける環境に巡り会えることが理想ですよね。

CHITOSE:
経営者と労働者、両方の意識や感覚を持つって、目から鱗が落ちる思いです!
確かにその両面を行ったり来たりできる人こそが、本当の意味でキャリアをアップしていける人。
そして、それができる人は、気配りができたり、思いやりがあったり、女性としてもきっと、とても魅力的ですよね。
私は、フリーランスだからと、どこか無意識で、勝手な働き方をしていたかも……。
時代が次に進もうとしている今、自分を改めて見つめ直したいと思います、人として成長するためにも。

TEXT : CHITOSE MATSUMOTO